トップ下の役割と現代サッカーでの立場を知ってサッカー通に!

2017年9月6日

トップ下の役割と現代サッカーでの立場を知ってサッカー通に!

サッカーチームはイレブンとも言われるように11人の選手同士が相対して試合がおこなわれます。この11人の選手のうちで、味方のゴールを守る守護神のGKを除く残りの10人は、フォーメーションと呼ばれるポジショニングをとります。

フォーメーションについて語るときに頻繁に出てくるのが「トップ下」という言葉です。これが何を意味するかがイマイチ分からない人も少なくないと思います。この「トップ下」について、それが何を意味し、その位置の選手はどのような役割を持っているのかを解説していきましょう。

「トップ下」とは司令塔と呼ばれるMF

トップ下の位置を知るために、ここでサッカーのフォーメーションについてのおさらいをします。

サッカーでは11人のうち、GK以外の10人の選手にポジションを割り振る戦術が使われます。攻撃に主眼を置く場合と、どちらかと言えば守備的でありながら、ここぞと言う局面でカウンター攻撃に転じるというような場合などがあります。
これはフォーメーションと呼ばれ、例えば「4-4-2」という場合は、DFが4人、MFが4人、FWが2人です。また、「4-3-1-2」ではDFが4人、守備的なMFが3人、攻撃的なMFが1人、FWが2人です。さらに「4-3-2-1」というフォーメーションもあり、これはFWが一人で、ワントップと呼ばれます。

この2つのフォーメーションで、終わりの「2」や1の前にある「1と2」がトップ下と呼ばれるMFです。つまり2人あるいは1人で、FWの後ろに位置する選手がトップ下になるというわけです。
トップ下の選手はMFでありながらFW的な動きをしてドリブル突破を試みたりシュートを打ったりもします。しかし、トップ下の選手の最大の役割は攻撃の基点となることです。トップ下の選手は相手陣地内でボールをコントロールし、的確な判断で攻撃の選手に致命的なパスを通すことを求められることから「司令塔」と呼ばれるのです。

トップ下に要求される能力と役割

トップ下のサッカー選手に求められる最大の能力は、トラップが上手いことです。
つまり、トップ下を務めている選手は、チーム内でもずば抜けたトラップ能力を持った選手ということになります。
現代サッカーでは相手陣地の深い位置で長い時間ボールを保持するという戦術が用いられることが多く、トラップ能力が勝敗のキーになりやすいため、必然的にトップ下のボール支配力が求められるわけです。

深い位置といっても相手と味方の選手間は近く、激しいボールの奪い合いが展開されます。
そのような状況で、ボールを相手に奪われないで保持するためには高度なボールコントロールの能力が必要になります。しかも、このことは相手チームも承知していることなので、トップ下は徹底的にマークされます。
以前はこのような戦術は少なく最終ラインが下がっていたので、トップ下の役目はさほど重要視されていませんでした。しかし、現代ではチーム全体が上がる戦術が多く用いられるので、トップ下が俄然脚光を浴びることになったのです。

FWに最適なボールを供給

先に述べたように、フォーメーションで「4-3-1-2」あるいは「4-3-2-1」の場合、トップ下の選手の役目はできるだけ味方のフォーメーション全体が上がった環境で、相手ゴールに近いサイドに走る味方のFWに、的確なタイミングで的確な場所にボールを送ることです。
サインプレイもありますが、ピッチ全体の様子を見てどこにボールを出せば効果的かと予測するのも、トップ下の大事な役割になります。

しばしば相手の選手に厳しくマークをされたトップ下は、止むを得ず自陣のMFやDFに一旦ボールを預けるシーンが多く見られます。しかし、これはトップ下がそのようなことをしながらも、味方のFWが相手陣地のマークが薄いエリアに走っていくのを待っているのです。
この場合、味方から返ってきたボールを相手選手から奪われないようにしながら、走っているFWに正確なパスを通すという難易度の高い仕事をこなすことになります。ここでも、ボールコントロールの能力が非常に重要であることが分かります。

トップ下には有名選手がいっぱい

別の観点から見ると、トップ下とはいわゆる攻撃的MFともいえます。
MFは通常の場合、左右に1名ずつで2人の選手がいますが、このうちの片方がトップ下であり攻撃的MFです。残る1人は守備的MFの役目に回ります。また、この位置にいる選手は、しばしば味方のFWにボールをパスする代わりに相手選手の位置取りを見ながらミドルシュートを打ちます。このミドルシュートでゴールが決まる瞬間を皆さんはしばしばご覧になっているはずです。
2010年の南アフリカW杯グループリーグにおいて、オランダ代表のヴェスレイ・スナイデル選手が日本代表を相手に強烈なミドルシュートを決めたシーンを覚えている方も多いのではないでしょうか。

これだけ仕事の多いトップ下には、有名かつ優秀な選手が数多くいます。日本では香川真司選手や本田圭介選手、海外ではメスト・エジル選手やハメス・ロドリゲス選手、ヤヤ・トゥーレ選手などが挙げられます。
Jリーグや海外リーグ、FIFA国際マッチの試合を観ていると、様々な選手がトップ下として攻撃のタクトを振るい、活躍しているのが分かるかと思います。
注意深く試合を観戦しながら、ぜひ自分のお気に入りのトップ下を探してみるのも面白いかもしれませんね。