サッカー界を影で支える裏方の仕事

2017年9月6日

サッカー界を影で支える裏方の仕事

今やサッカーは日本にもすっかり根付いたスポーツとなり、優秀な日本人選手が海外のサッカークラブに何人も移籍するようになりました。

FIFA国際マッチともなれば、これらの海外組が集結し、海外の強豪チームと白熱した試合を展開しますし、国内でもリーグ優勝はもとより、ナビスコカップや天皇杯ともなると多くのサポーターがアリーナで雨にも風にも負けない応援合戦を繰り広げます。

そんな熱いサッカーの試合で躍動するサッカー選手たちの仕事はもちろん、サッカーの試合を行うことですよね。
しかし、選手だけではサッカーの試合を成功させることはできません。
プロサッカー選手はもちろん、アマチュア選手、サッカー少年などを、裏方として支える多くの人達の努力によってサッカーの試合は成り立っているのです。
ここではこれらの人々にスポットライトを当て、裾野の広いサッカーの世界を紹介していきます。

アスレチックトレーナーの仕事

サッカー選手が自分で身体的なコンディションを調整するのは当たり前ですが、その影ではアスレチックトレーナーが選手を全面的にサポートしています。

基本的な役割は選手の身体をマイナスの状態から元に戻すことで、例えば、試合中に選手が怪我をした場合に応急処置を講じ、怪我の状態を把握して医師の指示を受けてリハビリのメニューを作成します。
このためアスレチックトレーナーは、怪我をしないためのトレーニングのノウハウを持っていますし、テーピングについてのノウハウも習得しなければなりません。

また、栄養士のノウハウも求められ、サッカー選手の健康状態や傷害歴を把握し、食事の栄養管理や休養を指導することもアスレチックトレーナーが行います。なお、この仕事をする人はアスレチックコーチとも呼ばれます。

フィジカルコーチの仕事

次に挙げるのは、今後その必要性が増していくであろうフィジカルコーチという仕事です。

端的に言えば、選手がピッチを走りまわる90分という時間を感じさせないフィジカル面での身体能力を引き出す仕事をするのがフィジカルコーチです。
したがって、部分的にはアスレチックトレーナー(コーチ)と共通するところもあります。フィジカルコーチは選手の身体のメンテナンスを受け持ち、選手の身体能力を限りなく100%発揮できるようにサポートします。

ちなみにこれらのトレーナーやコーチには特に資格はなく、選手の経験も必要としません。全てが実力と実績の世界です。

審判(レフェリー)の仕事

テレビでのサッカー観戦、あるいはスタジアムでのライブ観戦では、しばしば審判の笛について話題になりますよね。
「あれ?何であれがファウルなの?」と言う場面。どうしてあれがペナルティになる反則でないのか。審判に対するブーイングが絶えない試合もあります。

審判も人の子ですから、たまには勘違いもするでしょうし、選手の動きが見えにくいこともります。しかし、ひとつの笛で試合の流れが大きく変わるのがサッカーですから、審判の仕事は極めて重要です。
また、この仕事はサッカーでは裏方でありながらも非常に目立つ存在で、審判員になるにはそれ相応の知識と経験とピッチを走り回る体力が要求されます。

日本サッカー協会(JFA)は審判員のライセンスを1級~4級まで定めていますが、Jリーグの審判員は誰もがなれるわけではありません。
Jリーグの審判員は1級ライセンス保持者の中から実績により毎年推薦されます。また、FIFAマッチなどの国際試合を担当できるのは国際審判員で、1級審判員から推薦されます。
多くの審判員はサッカー以外の副業を持っていますが、トップクラスともなれば、年間の収入は2000~3000万円だという噂もあります。

スクールコーチ・キッズリーダーの仕事

全国の小中高、大学にはおおむねサッカー部があります。
この場合は学校の教職員という立場でサッカー部の部長や監督を務めますが、この人たちは厳密に言えばサッカーを仕事にしているわけではありません。

一方で、Jリーグのクラブが運営するようなサッカースクールが全国にあり、サッカースクールでのコーチを仕事にしている人が数多くいます。

スクールコーチには指導者ライセンスが必要で、日本サッカー協会は、S級からD級までのライセンスを設定しています。
なお、Jリーグチームや日本代表の監督になるためにはS級ライセンスが必要となります。

サッカー選手を育成するために欠かせないのが子供のサッカーで、世界各国のスーパースターの多くは3歳頃から既にサッカーボールに親しんでいるそうです。
そこで、キッズリーダーというサッカー関連の仕事があります。主に10歳以下の子供たちにサッカーを教えるのが仕事ですが、キッズリーダーにも基本的には日本サッカー協会公認のキッズリーダーライセンスが必要とされています。

これぞ裏方!フロントとスカウトの仕事

Jリーグのチームは、企業所有でなく、有志会員・後援組織・地元企業・地元自治体などの支援で運営されるクラブチーム形式になっており、これは海外でも同様です。したがって、チームとは呼ばずクラブと呼んでいます。

そして、クラブと呼ばれるサッカーチームには必ずフロントというセクションがあります。
フロントの仕事は非常に多岐にわたり、言わばクラブの何でも屋さんです。

フロントの仕事は、試合やイベントの企画・運営はもとより、スケジュール管理を含むマネジメント、さらにはクラブの資金を潤沢にするためのスポンサー獲得や、クラブの人気を高め、サポーターを獲得するためのTシャツやグッズを企画・販売する広報活動があります。
また、クラブチームの運営に関する経理や財務その他の事務作業などもあります。

つまり、ピッチ上で選手が試合を行うために必要な、目に見えないことの全てを行うのがフロントの仕事と言えます。

さらに、スカウトもフロントに在籍しています。スカウトは各地の試合を観戦し、様々な選手達とコミュニケーションを図り、有能な選手を自分のクラブチームに呼び込むという仕事をしています。

以上、サッカーに関係する裏方の仕事を紹介しましたが、他にもサッカー専門誌などの出版に関する仕事や、我々V-ELEVENのようなサッカーユニフォームを製作する仕事も、広い意味ではサッカーの仕事と言えるでしょう。
こうしたたくさんの仕事から、サッカーというスポーツの裾野の広さを感じることができますね。