サッカーのハーフタイムはどうやって15分になったのか

2017年9月6日

サッカーのハーフタイム─試合時間の変遷と時間の使い方

サッカーの試合は前半と後半の2つに分かれています。そして、前半と後半の間にハーフタイムという時間があります。
国際試合などで一般的なのは前半45分、ハーフタイム15分、そして後半45分という構成です。

今ではこの構成が当たり前のようになっていますが、サッカーの長い歴史の中で今の形になったのは最近のことです。
そもそもハーフタイムという概念が無かった時代もあり、実はサッカーの試合時間は歴史とともに変遷しているのです。

そんなサッカーのハーフタイムについての歴史と、その意味を紐解いてみましょう。

歴史とともに変遷してきたサッカーの試合時間

今でこそサッカーの試合時間は90分というのが常識になっていますが、かつては試合時間の取り決めすらなかった時代がありました。原始的なサッカーはボールを蹴って遊ぶということ以外はほとんど何でもアリになっており、コートの広さやチームの人数なども決まっていませんでした。

●「ケンブリッジ・ルール」の誕生
プレーする人々やチームよって様々なルールが混在していたサッカーですが、異なる地域や学校などのチームが試合をするにあたって統一的なルールが必要ということになり、ケンブリッジ大学で定められたルールが近代サッカーのルーツとなりました。このルールのことをケンブリッジ・ルールといいます。
ただし、このケンブリッジ・ルールですら試合時間の明確な取り決めはなく、双方のチームで話し合って決めるという、極めてのんびりとしたものでした。

●イングランドサッカー協会の設立とルール策定
1863年に世界初となるサッカー協会であるイングランドサッカー協会が設立され、その時に今のサッカーにかなり近いルールが策定されました。ですが、この時も試合時間の取り決めがなかったのです。もちろん、ハーフタイムという概念もまだありません。
1866年に行われた試合で「15時に始まった試合を16時半に終える」という取り決めをしたことが、世界で初めて90分という試合時間が登場した瞬間だと言われています。ただし、この時もハーフタイムは設定されていないので、90分の試合時間を休憩なしで戦っていたことになります。

ついに「5分のハーフタイム」が登場

その後もサッカーの試合時間は変遷を続け、ようやく90分で落ち着いたところで間に休憩が必要なのではないかという声が起こりました。
あくまでも選手を休憩させるために始まったハーフタイムは、たったの5分間でした。厳密に言うと「5分を超えてはならない」というルールだったので、レフェリーの判断によって5分以下ということもあったそうです。

ルール改訂によりハーフタイムは現在の15分に

当初5分以下と定められたハーフタイムは、その後改訂されて「15分を超えてはならない」と改められ、ここでようやく90分の試合時間と、前半と後半の間に15分以内のハーフタイムを設けるというルールが定まりました。
ちなみに、現在のハーフタイムが15分であるという根拠は、実は少し別のところにあります。その根拠とは、「後半のキックオフは前半のキックオフの1時間後」というルールです。前半の試合時間は45分とロスタイムなので、後半が60分後にキックオフとなることから逆算すると、ハーフタイムは最大で15分となります。仮に前半ロスタイムが3分あったとしたら、実質的な前半の試合時間は48分になるので、自ずとハーフタイムは12分ということになります。

ハーフタイム中に選手たちは何をしているのか

最大で15分と定められている近代サッカーのハーフタイム。ではこの時間を使って選手たちは何をしているのかというと、それは試合によって、チームによって、そして個々の選手によってまちまちだそうです。

●最もポピュラーなのが水分補給
サッカーの試合では大量に汗をかくのですが水分補給をする機会が少ないので、ハーフタイムに最も大切なのは水分補給です。ドリンクを飲みながら体を休めたり、ストレッチをしたりすることも多いですし、ユニフォームが汚れている人は着替えることもあります。

●勝利のための貴重な時間
チーム全体としてはミーティングや作戦会議などに時間を使うこともあります。
前半では低調だったチームが、ハーフタイムを境に後半から生まれ変わったようになることも珍しくありませんが、これはハーフタイム中に立てた何らかの作戦が成功したか、監督の訓示により選手のモチベーションが大きく向上したと考えられます。

観客にとってのハーフタイム

サッカーの試合を観戦しているサポーターにとって、ハーフタイムとはどんな時間なのでしょうか。
アメリカンフットボールの試合だとハーフタイムショーといってチアリーディングなどのショーアップされた趣向が用意されているので、それを楽しみにしている観客も多いのですが、サッカーの場合はあまりショーアップされたハーフタイムというのは見られません。

ハーフタイムが最長でも15分ということで、観戦しているサポーターにとってもトイレ休憩であったり、熱の入った応援で疲れた体を休める時間と考えている人が多いようです。

Jリーグなどプロリーグの中にはハーフタイムを集客の重要なポイントと捉えているところもあるので、そういったクラブチームはショーアップに力を入れています。一口にハーフタイムと言っても、クラブチームによっても価値観や時間の使い方が異なるようです。