解説!サッカー世界ランキング(FIFAランク)

2017年9月6日

ニュースや試合中の実況などでよく耳にする、サッカーの世界ランキング。(FIFAランク)
国際サッカー連盟(FIFA)が発表するこのランキングは、国の強さを相対的に判断する指標としてよく用いられています。
では、いったいどうやって算出されているのでしょうか。

ランキングはポイント算出から始まる

ランキングを決めるための指標として用いているのは、ポイントです。
各国でポイントを算出し、降順で並べ、順位を出しているのです。

  1. 国際Aマッチごと、ポイントを算出します。対象期間は、過去48ヶ月です。
  2. 対象期間を12ヶ月ごと、4つに区切ります。
    国際Aマッチで獲得したポイントの合計を計算し、行った試合数で割って、区切りごと平均を出します。
  3. 区切りごと出したポイントに、数字を掛けます。
    直近12ヶ月…100%、13ヶ月-24ヶ月…50%、25ヶ月?36ヶ月…30%、37ヶ月?48ヶ月…20%
  4. 4つの数字を合算します。これがFIFAランキングポイントになります。

まずは国際Aマッチごとのポイントを算出することになりますが、基準になるのは、下記4項目です。

  1. 試合に勝ったか、負けたか、引き分けたか。
  2. タイトルがかかった試合か、それとも親善試合か。
  3. 相手が、自分よりもランキングが高い国か、低い国か。
  4. 相手がどこの大陸に属しているか。

詳しく見ていきましょう。

(1) 対戦結果

結果に点数を割り振ります。具体的には下記となります。

勝ち…3点
負け…0点
引き分け…1点
PK戦による勝ち…2点
PK戦による負け…1点

勝った場合は勝ち点3、負ければ0、引き分けで1などは、ワールドカップ予選やリーグ戦などで馴染みが深い数字ですね。

(2) 試合重要度

その対戦がどれほどの重要度を持つのかを、点数で割り振ります。

親善試合、小規模地域選手権:1.0
大陸選手権予選、ワールドカップ予選:2.5
大陸選手権本大会、コンフェデレーションズカップ:3.0
ワールドカップ本大会:4.0

小規模地域選手権は、例えば極東3カ国で争う東アジア選手権などが該当します。
これを見ると、大陸王者になり、コンフェデレーションズカップで勝ち、ワールドカップ本大会でも結果を残した国が、より多くの点数を稼ぐことができますね。

(3) 対戦国の強さ

対戦国のFIFAランキングによって、点数が割り振られます。

対ランキング1位:2.00
対ランキング2位?149位:(200-対戦相手のFIFAランク)÷100
対ランキング150位以下:0.50

よりランキングが高い国と対戦した方が、多くの点数を稼ぐことができるわけですね。

(4) 大陸連盟間の強さ

対戦国がどのサッカー連盟に属しているかによって、点数が割り振られます。

対UEFA(欧州サッカー連盟)所属国:1.0
対CONMEBOL(南米サッカー連盟)所属国:1.0
対CONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)所属国:0.88
対AFC(アジアサッカー連盟)所属国:0.86
対CAF(アフリカサッカー連盟)所属国:0.86
対OFC(オセアニアサッカー連盟)所属国:0.85

強豪ひしめく、欧州サッカー連盟や南米サッカー連盟に所属する国と対戦したほうが、多くの点数を稼ぐことができるわけですね。

国際Aマッチポイントの算出方法

いよいよ国際Aマッチポイントの算出です。下記の計算式を用います。

(1) × (2) × (3) × (4) × 100

例えば、日本が東アジア選手権で韓国と対戦し、1-0で勝利したと仮定しましょう。
その時の国際Aマッチポイントは、以下になります。

(1) 対戦結果
勝ったので、勝ち点「3」を獲得しました。

(2) 試合重要度
東アジア選手権は小規模地域選手権なので、「1.0」を獲得しました。

(3) 対戦国の強さ
韓国は執筆時点の最新ランキング(2014/5/8発表)で55位なので、「1.45」を獲得しました。

(4)大陸連盟間の強さ
韓国はAFC(アジアサッカー連盟)に所属していますので、「0.86」を獲得しました。

つまり今回の獲得ポイントは、「3」×「1.0」×「1.45」×「0.86」×100=374.1となります。

FIFAランキングは信じて良いのか

「FIFAランキングは、アテにならない。」
以前からサッカー関係者の間で言われてきていますが、実際はどうなのでしょうか。

何回か計算方法の改定がありましたが、結局次のような説が有力のようです。
「精度はだいぶ上がってきたが、やはり100%アテにすることはできない。」

理由は主に4つあるようです。

(1) アジア地域所属国の不利

ワールドカップやコンフェデレーションズカップで良い成績を納めても、それまでのアジア内での試合でポイントが相殺されてしまいます。

(2) 大陸選手権の開催頻度による差

CONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)、CAF(アフリカサッカー連盟)の大陸選手権は、2年に1度開催されます。
ちなみにAFC(アジアサッカー連盟)は4年に1度で、CONCACAFやCAFに比べてポイントを稼ぎにくくなっています。

(3) “地域に所属するチームの強さ”による差

全ての負けが0ポイントとなるため、強豪ひしめく地域では、引き分けることさえ難しい国もあります。
例えば強豪揃いの欧州で勝ち点がなかなか奪えないサンマリノは、FIFAランキング207位と最下位(2014/5/8現在)ですが、実力の面から見ると205位にランクインしているクック諸島や、195位にランクインしているケイマン諸島より下なのか、と言われれば疑問符が付きます。

(4) ワールドカップ開催国の不利

ワールドカップ開催国は予選が免除されるため、ワールドカップ予選の点数が獲得できません。
親善試合を組んだり、小規模地域選手権に出場したとしても点数が低く、ランキングが下がる傾向にあります。

これからはランキングを鵜呑みにするのではなく、あくまで目安なんだなと思いながら実況を聞くと良いかもしれませんね。