サッカー日本代表で注目される「海外組」、その歴史と有名選手列伝

2017年9月6日

サッカー日本代表で注目される「海外組」、その歴史と有名選手列伝

FIFAサッカーの試合でサポーターの関心を集めるのが、メンバー発表の瞬間です。

ホーム、アウェイを問わず、日本代表チームのメンバーは代表監督が選びますが、今では多くの日本人選手が海外のチームで活躍しているので、そのメンバーは国内でプレイする選手と海外組と呼ばれる海外でプレイする選手で構成されます。

海外組の選手の多くはヨーロッパ諸国のチームに所属していますが、その中でも多いのはドイツで、次にイタリア、イギリス、フランス、スペインなどのサッカー強豪国が並びます。

これら海外で活躍している海外組の選手たちにスポットを当てて、現在の日本サッカーを論じてみたいと思います。

海外組の原点を知らずしてサッカーを語るなかれ

日本にサッカーが導入されたのはずいぶん昔のことで、戦後もある程度は知られたスポーツでしたが、本格的に今の人気を獲得するまではずいぶん時間がかかりました。

その時代があるから今の日本サッカーがあるわけで、現在の日本のサッカーを語る時に知っておきたいキーマンの選手が何人もいます。

これらの選手はプロのJリーグが誕生する前、誕生してからの日本サッカー界に大きな影響を与えたという点で、ぜひ知っておきたい人たちです。

奥寺康彦

一流のプロサッカー選手として、海外で活躍した草分け的存在は、奥寺 康彦(おくでら やすひこ、1952年3月12日生まれ )で、秋田県鹿角市の出身です。奥寺選手は1977年10月にドイツへ渡り、FCケルンに入団、ブンデスリーガのベンチ入りをしました。

対MSVデュイスブルク戦で先発デビューを果たし、その後ドイツカップ準々決勝のシュバルツバイス・エッセン戦で初ゴール(2得点)をマークしました。

名将と呼ばれたヴァイスヴァイラー監督の下で活躍し、1977-78シーズンのリーグ優勝とドイツカップ優勝の二冠に貢献しています。

三浦知良

時代が1980年代に入ると、今も現役で人気がある、「キングカズ」こと三浦 知良(みうら かずよし、1967年2月26日生まれ、静岡県静岡市葵区出身)が登場します。

カズは1982年12月に私立静岡学園高校の1学年を待たずしてブラジルに単身渡航し、CAジュベントスへサッカー留学をしました。さまざまな試練を経験したカズは、サンパウロ州選手権タッサ・サンパウロ(U-21)に日本人として初出場。その後1986年2月、サンパウロ州のサントスFCに入団し、5月にはSEパルメイラスとの特別契約で、日本でのキリンカップで凱旋帰国しました。

ちなみにキングカズは、別格のレジェンドである釜本邦茂選手と並ぶ国際Aマッチ1試合で6得点の日本代表1試合最多得点記録しています。

最年長のJリーガーとしての三浦 知良選手を知らないサッカーサポーターはいないと言っても過言ではないでしょう。

中田英寿

そして3人目は、ヒデこと中田 英寿(なかた ひでとし、1977年1月22日生まれ)、山梨県甲府市出身です。運命的なことに、奥寺選手がドイツのブンデスリーガーになった1977年に、ヒデはこの世に生まれているのです。

ヒデは現在FIFA親善大使を務めていますが、現役時代の活躍は多くの人の知るところです。

日本代表のFIFAワールドカップの3大会連続出場に貢献し、アジア年間最優秀選手賞を2回、イタリア政府からイタリア共和国功労勲章(カヴァリエーレ)を受章。戦績としては、U-17世界選手権、ワールドユース(現在のU-20W杯)、U-23オリンピック、コンフェデレーションズカップ、W杯などの主要な世界大会のすべてでゴールをあげた唯一の日本人選手です。

現在のFIFA日本代表での海外組は質・量ともに充実

サッカーに限ったことではありませんが、スポーツに国境はありません。

また、世界中のどのプロサッカーチームもその目指すところは頂点ですから強いチームにするためには、常に世界中の選手の活躍ぶりに目を光らせています。

そうなると、当然ながら日本の選手を欲しいという海外チームがでてきて、選手を獲得します。しかし、FIFAの国際Aマッチでプレイできるのは、その国の国籍を有する選手と限定されています。

そこで、チームの選手構成は、国内のJリーグでプレイする選手と、海外チームでプレイをする選手になり、この海外で活躍している選手が呼び戻され、彼らが海外組と呼ばれます。

以下に、これら海外組の選手名を並べますが、所属チームは流動的なので省略します。

イタリア・セリエA

イタリアのセリエAに所属する主な選手は、長友 佑都、本田 圭佑で、かつて所属した主な選手には、大黒 将志、小笠原 満男、中田 英寿、中村 俊輔、名波 浩、三浦知良、柳沢 敦などがあげられます。

イングランド・プレミアリーグ

イングランドのプレミアリーグに所属するのは、現在はDFの吉田麻也が有名ですが、過去には稲本 潤一、香川 真司、川口 能活、中田 英寿、李 忠成などがプレミアリーグで活躍しています。

オランダ・エールディビジ

強豪チームそろいのオランダのチームでは以前、小倉 隆史、小野 伸二、平山 相太、本田 圭佑、吉田 麻也、ハーフナー・マイクがプレイしていましたし、スコットランドのチームでは、過去に、中村 俊輔、大久保 嘉人、城 彰二、中村 俊輔、ハーフナー・マイクらがいました。

ドイツ・ブンデスリーガ

現在の日本代表選手の海外組で一際目立っているのは、ドイツのブンデスリーガ所属選手です。乾 貴士、内田 篤人、大迫 勇也、岡崎 慎司、香川 真司、清武 弘嗣、酒井 高徳、酒井 宏樹、長澤 和輝、長谷部 誠、原口 元気、細貝 萌、太田 圭祐など、挙げればキリがないほど名前が出てきます。

かつてドイツでプレイをした主な選手は、稲本 潤一、宇佐美 貴史、大久保 嘉人、奥寺 康彦、小野 伸二と言った顔ぶれです。

その他のヨーロッパリーグ

フランスでは以前、稲本 潤一、大黒 将志、中田 浩二、松井 大輔その他の選手が在籍していますし、スペインリーグではハーフナー・マイクが活躍しています。

海外チームへ移籍の噂・可能性がある海外組予備軍たち

かつて海外組として活躍した選手、現在も活躍中の選手、こうした選手以外にも最近海外のチームから目をつけられているJリーガーは少なくありません。言わば海外組予備軍とも言える選手たちです。

以下に海外組予備軍と目されている選手をご紹介しましょう。

セレッソ大阪のFW南野 拓実は、オーストリアのザルツブルクへ完全移籍が決まっています。プレミアリーグのチェルシーは、FC東京のFW武藤 嘉紀との移籍に合意したとの噂があり、アルビレックス新潟のFW鈴木 武蔵は、ブンデスリーガのフランクフルトの練習に参加しているようで、移籍の可能性もあるでしょう。

清水エスパルスの石毛 秀樹選手の移籍先として噂に上がったのはマンチェスター・シティで、ヴィッセル神戸の小川 慶治朗の移籍先として噂があるのは、パルマFC、FC東京の高橋 秀人は、ハンブルガーSVへの移籍が噂されています。

このように世界のサッカー界は極めて流動的なので、これらの選手の動向は刻々と変化しまから、今後どのような選手の海外チームへの移籍があるかは読めない部分も多々あります。

これらの選手が海外で活躍し、国際Aマッチの際に、海外組として日本代表チームに召集されるかは、大いに楽しみなところです。